国文学研究資料館アーカイブズ研究系は、歴史学界の強い要望・運動の中で、歴史学者96名による請願が1949年に衆議院において採択され、1951年に設置された文部省史料館に起源を置くものである。
史料館は、散逸の危機に瀕した記録史料の保存のため、積極的に地域史料などの調査・収集ならびに研究に当たり、現在までに収蔵した日本近世・近代の収蔵史料は約50万点にのぼる。そして、こうした史料群の保存・公開に向けての目録作成などの業務を約60年間の長きにわたって行い、85冊におよぶ『史料館所蔵史料目録』(2004年度より、『史料目録』と改題)をはじめとする貴重な成果は、これまで数多くの研究者の利用に供され、歴史学界に多大な貢献を果たしてきた。今後もその重要性に揺らぐところはない。
また、1952年に開設された「近世史料取扱講習会」は、「史料管理学研修会」「アーカイブズ・カレッジ」と継承され、現在ではアーカイブズ学教育の場としての機能を発揮し、全国の史料保存の担い手を養成し続けている。わが国のアーカイブズ学は先進諸国に比べて立ち遅れていたが、「アーカイブズ・カレッジ」による学問的蓄積は、この分野の発展に大きく寄与しており、各種資史料の保存管理においても、その与える影響は大きい。
以上のことから、地方史研究協議会は、国文学研究資料館アーカイブズ研究系の機能維持・向上は地方史・地域史研究のために極めて重要であると考え、大学共同利用機関法人人間文化研究機構及び国文学研究資料館に対し、以下の2点を強く求める。
1、国文学研究資料館は、これまでアーカイブズ研究系が歴史学・アーカイブズ学に対して果たしてきた役割を強く認識し、同研究系の機能を維持して従来と同様に日本近世・近代史料の収集、保存、研究、公開利用が十分なされるような態勢を構築すること。
2、アーカイブズ学の研究拠点に相応しい十分な人員配置など、適切な措置を講ずること。
以上
2008年10月18日
地方史研究協議会 会長 所 理喜夫