■日 時: 2014(平成26)年4 月5 日(土) 13:00~17:30
■会 場: 青山学院大学青山キャンパス14号館(総研ビル)11階 第19会議室
(東京都渋谷区渋谷4−4−25 )
■主 催: 首都圏形成史研究会
■共 催: 歴史地震研究会
■後 援: 地方史研究協議会
■参加方法: 事前申し込み不要。当日、直接会場にお越し下さい。
■連絡先: 〒231-0021 横浜市中区日本大通3番地 横浜開港資料館内
首都圏形成史研究会事務局
Tel:045-201-2169(担当:吉田)
〈開催趣旨〉
2011(平成23)年3 月の東日本大震災は社会の様々な方面に影響を与え、災害に対する人々の意識を大きく変えた。歴史学の世界においては、従来の資料レスキューの問題だけでなく、これまで見過ごされがちであった災害史研究の重要性が見直され、災害教訓の発掘が広く求められるようになった。それに伴い、歴史災害を人々に伝える方法として、“災害史”に関する展示が各地の博物館や文書館、図書館で行われている。特に2013(平成25)年は1923(大正12)年9月の関東大震災からちょうど90 周年ということもあり、各地で災害史に関する展示会や講演会、関連イベントなどが催された。おそらく東日本大震災がなければ、関東大震災90周年に関する注目は集まらず、関連する事業も別の形になっていただろう。
さて、東日本大震災以前も“災害史”に関する展示企画がなかったわけではない。各地の博物館や文書館、図書館は所在する地域で発生した災害について様々な展示を行ってきた。ただし、関東大震災90周年のように、同時多発的に企画が立ち上がったのは初めてであろう。それぞれの現場では、展示担当者を中心に“災害史”に対する研究や展示方法、また、新たな課題等が浮き彫りになったのではないだろうか。
他方、首都圏形成史研究会では、東日本大震災発生以前の2010(平成22)年4 月24 日、神奈川県立歴史博物館においてシンポジウム「『関東大震災』研究の新潮流―文理融合を目指して―」を開催し、その成果を『年報首都圏形成史研究』第1号(2011 年12 月)にまとめた。ここで「大学、博物館、文書館、資料館、自治体史の編さん事業などが一体となって歴史資料の保存と継承に努めつつ、過去の災害から教訓を検証し、その研究成果を現在の防災計画や防災教育に還元していかなければならない」という課題が提示された。これは常に地域史を研究対象とする研究者が念頭に置かなければならない大きな課題と言える。
以上のような問題を克服していくには、学問分野や地域を越えた研究者間の結束が不可欠なだけでなく、歴史災害を語る災害史分野の資料発掘が必要である。しかしながら、その多くは個々の研究者の手に委ねられており、情報交換の機会を得にくいというのが現状である。特に「展示」という研究発表スタイルの場合は、意識的に情報の共有化を図らなければ、個々の取り組みで完結してしまうだろう。また、今後、災害史分野の研究はさらに進展すると予想されるが、問題意識を共有する場がなければ、各々の研究は分断される可能性もある。
そうしたなか、関東大震災90 周年を経た今日は、各地の“災害史”展示を振り返り、その成果と課題を共有する良い機会ではないだろうか。そこで本シンポジウムでは、共同研究の場を構築することを見据えつつ、“災害史”展示の担当者を中心に、「首都圏」の研究者が地域の“災害史”と如何に向き合っているのか、また、個々の抱える課題をどのように克服していくのか、それらの点をさまざまな立場から比較・検討していくことで、今後の災害史研究やその展示方法等について考えていきたい。
〈当日のプログラム〉
◆基調講演/北原糸子(国立歴史民俗博物館)
関東大震災90 周年事業を振り返って―震災遺産の掘り起しと社会への還元―
◆報告①/大石三紗子(大磯町郷土資料館)
春季企画展「大磯の災害」を開催して
◆報告②/宮間純一(宮内庁宮内公文書館)
公文書館における災害展示-宮内公文書館を事例に-
◆報告③/青木祐介(横浜都市発展記念館)
関東大震災90 周年連携展示の試み―横浜市の事例から―
◆報告④/諸井孝文(小堀鐸二研究所)
災害史の別の側面-“自然”の記述と“防災”の伝承―
◆報告⑤/小風秀雅(お茶の水女子大学)
自治体史編纂における災害史の位置付けについて
◆パネルディスカッション/“災害史”展示の現状と課題―関東大震災100 周年にむけて―
〔コメンテーター〕橋本直子(葛飾区郷土と天文の博物館)
〔司会〕西村健(すみだ郷土文化資料館)
吉田律人(横浜開港資料館)