新シリーズ 『地方史はおもしろい』 創刊

Series=地方史はおもしろい01 『日本の歴史を解きほぐす―地域資料からの探求』

2020年4月18日刊行 新書版・並製・272ページ 2020年4月18日刊行 文学通信 定価:本体1,500円(税別)

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シリーズ刊行にあたって

地方史研究協議会 会長 廣瀨良弘

地方史研究協議会は、二〇二〇年に創立七〇周年を迎える。これを期して書籍刊行の企画が検討された。全国各地で保存されてきた地域の資・史料を学術的にアピールするための企画である。
日本全国の文化財は、国の指定文化財として国宝・重要文化財があり、都道府県の指定文化財もあり、さらに市区町村の指定文化財もある。このうち都道府県や市区町村の指定文化財は、各自治体が地域にとって重要であると考える資・史料を指定文化財として保存・公開している。しかしながら、自治体が指定した文化財をその自治体以外の人々が知る機会はそう多くはない。全国の博物館やその他の保存機関などには、限られた研究者のみしか利用されてこなかった資・史料も存在している。
これまで全国の文化財行政に携わる人々や研究を志す人々などによって、資・史料の調査や保存活動が地道に行われ続けてきた。そうした人々の努力により、今後も将来にわたり、歴史的に価値のある資・史料が保存・公開され続けていく。一方で近年、地震や台風、火災などで地域の資・史料が被災し、損失している。地域の資・史料の地道な保存活動は、多くの人々の理解があってこそ成立する。そのためには、地域の資・史料のもつ情報の凄さを広く知ってもらいたいと考える。
本企画は、知名度はかならずしも高くないものの、地域を考えるうえで重要な資・史料に焦点をあてて、学術的なその面白さを広めるシリーズ企画である。題して『地方史はおもしろい』である。資・史料が地域の歴史のなかでどのような意味を持っているのか。また、資・史料からどのような人々の営みやさまざまな情報を読み取ることができるのか。地域で保存され、伝えられてきた資・史料をもとに地域の歴史にスポットをあてていく。
多くの方々が本シリーズの各書をお手に取り、地域の歴史のおもしろさを身近に感じていただきたい。